鳥の群れを1つにつなぐ ヴォロー
────
◆タイトル: Volo
◆人数: 2人
◆複雑さ(1〜5): 3
◆時間: 30分
◆価格: 23ユーロ
◆ゲームデザイナー: Dieter Stein
◆個別ページへのリンク
◆日本語説明書へのリンク
────
鳥の習性に従って自分のコマを動かす『ヴォロー(Volo)』を紹介します。
「鳥の習性?」と思われるでしょうが、コマの移動ルールがちょっと鳥の群れっぽい、ということなんです。あまり気にしなくてもいいかも。目的は、自分のコマ全てをひとつながりにするということで、これも鳥っぽい。
ところで。筆者はこのゲームを非常に推しているのですが、ちょっと要注意な点もあります。
手強いゲーム
このゲーム、なかなか本格的で手強いのです。移動の条件が厳しめで、しかも独特な制約があり勘違いが起こりやすいです。さらに、動き方がまずいとゲームが長期化してしまうこともあります。そんなわけで、気軽にゲームを遊びたい人は、やめておいた方がいいかも知れません。もしアブストラクトゲームに慣れていなくて不安であれば、少し易しいアブストラクトをやってからの方がおすすめです。例えば『ミュルスガリカス』あたりいかがでしょうか? 「計画を持ってコマを動かす」ということに慣れられると思います。
少しだけ違う方向から、ルール説明
このゲームの説明書、例図がよくできています(1つ1つ丁寧に追っていく必要はありますが)。そこで本記事では、説明書と多少異なる表現でルール説明を試みます。説明書で分かりにくかった場合など、補助として使っていただければと!
準備・用語
2人用ゲームです。使うボードのサイズを2種類から決めます(初回はミニボードが良いでしょう)。
以下、コマのことを「鳥」と呼びます。
鳥は全て、線の交点に置きます。
また、同色の鳥がひとつながりになっているのを「群れ」と呼びます(同色の鳥と隣接していない1羽だけの鳥も「群れ」と考えます)。
ミニボードでの初期配置例。 ミニボードでは地が濃い部分だけがフィールドになる |
目的
自分の群れを1つにしたら勝ちです。手番
黄色が先手です。手番では、以下の「鳥の追加」か「鳥の移動」のどちらかを行います。
どちらもできないときはパスします。
自分の制圧下の領域に鳥を追加することしかできない、という場合はパスしてもかまいません(「分断と制圧」の項も参照)。
両者が続けてパスした場合、ゲームは引き分けで終了します。
鳥の追加
ボード外から、自分の鳥を1羽だけ新たに追加します。以下の2つの制約があります。- 自分の鳥が隣にいない位置に追加すること
- 相手の制圧下の領域内には追加できない(「分断と制圧」の項も参照)
補足: 鳥を追加すると、必ず群れの数が増えることになります。
青プレイヤーの鳥の追加。 A点にはできるがB点にはできない |
鳥の移動
自分の1羽の鳥、または1列につながっている鳥たちをまとめて移動させます。1列につながった鳥のうち一部分だけを移動させてもかまいません。赤円の3羽をまとめて移動できる。 この場合、4羽まとめての移動はできない |
以下の制約を満たす限り、 まとめて動かす方向は自由 |
- 線に沿ってまっすぐ移動すること
- (複数の鳥を動かす場合)同じ距離を平行に移動すること
- 他の鳥がいる位置は通過も停止もできない
さらに、群れに関して、以下の2つの制約もあります。
- 既存の群れが分かれないこと
- 移動する鳥が属する群れが、移動前より大きい群れになること(つまり、移動先で自分の鳥と新たに隣接すること)
補足: 鳥を移動すると、必ず群れの数が減ることになります。
上図の例:
A,B,Cの3羽を矢印方向に1マス動かすことはできない(移動前より大きい群れにならないから)。
A,B,Cの3羽を矢印方向に2マス動かすことはできる。A,Bの2羽だけを矢印方向に2マス動かすことはできる。
Aの1羽だけを矢印方向に2マス動かすことはできない(既存の群れが分かれてしまうから)。
分断と制圧
注: 本項の用語はこの記事独自のものです。一方の色の鳥が壁を作るようにして、もう一方の色の鳥たちを、完全に隔離することがあります。つまり、一部の鳥を完全に閉じ込めている場合です。この状況を、以下「分断」と呼びます。
分断を起こしたとき、相手の鳥は2つ以上の領域に分かれているはずです。分断を起こしたプレイヤーは、その領域のうち1つだけ残して、残りの領域にいる相手の鳥を全てゲームから除外します。
これにより相手の群れが1つになったら、即座に相手の勝利です。
ミニボードでプレイ中。
Aを赤円に動かすと、黄が青の鳥を2つの領域に分かつため、分断が起こる。
黄プレイヤーがどちらの領域の青を全て取り除くか選択する
(ただし、左下側の青を取り除くと、即座に負け)。
Aを赤円に動かすと、黄が青の鳥を2つの領域に分かつため、分断が起こる。
黄プレイヤーがどちらの領域の青を全て取り除くか選択する
(ただし、左下側の青を取り除くと、即座に負け)。
また、一方の色の鳥がボードを完全に分けて、相手の鳥がいない領域を「制圧下の領域」と呼びます。分断が起こらなくても制圧下の領域ができることはありえます。
制圧下の領域は、パスのルールと、鳥の追加のルールに影響します。
ルールは以上です。
プレイ感など
ルールの理解がまず難しいですが、「鳥を追加すると群れが増える」「鳥を移動すると群れが減る」という大原則を軸に考えるのがコツだと思います。
そして、このルールの原則にこそ、このゲームの魅力があります。鳥がある程度いないと移動がままならないわけですが、鳥を増やせば群れが増えて、一旦ゴールからは遠ざかるのです。一方、移動すると群れが減ります。群れの数が減るということは、サイズが大きくなるということです。巨大な群れの動きにくいこと! ゴールが近づくほどに、どんどん身動きが取れなくなっていきます。
このままならなさ、ちょっとした矛盾感。ゲームの長さも幅広く変わるという特性もあるため、「誰にでも」とは言えませんが、とても面白い感覚が味わえると思いますよ。
以上、『ヴォロー(Volo)』の紹介でした。
0 件のコメント:
コメントを投稿