ルール追加大富豪で遊んだ

2020年1月2日

ボードゲーム

t f B! P L

2019年12月30日、筆者が主催となって『ルール追加大富豪』の会を開きました。

本記事では、大いに盛り上がったその様子を記します。プレイ人数は3〜5人で推移しました。

ルール追加大富豪とは?

『大富豪(大貧民)』というトランプゲームからできるだけ特殊ルールを抜いた、プレーンな大富豪をまずプレイします(大富豪自体のルール→Wikipedia)。「革命」も「階段」も「8切り」も「スペ3返し」もありません。大貧民が大富豪に強いカードを渡す、などのルールもありません。

最初の大富豪の勝者はルールを1つ追加します。追加するルールは全く自由。このルールを加えた状態でもう1度大富豪をプレイし、また勝者がルールを追加し……これを繰り返します。

なおこの記事では、ルールおよびその補足をこの色の字で記します。

1回戦


最初は3人です。顔合わせの後、あらかじめ作っておいた「基本ルール」を全員で簡単に確認しました。ある程度追加ルールに対応できるように、「♦︎3を持っている人からスタート。誰も持っていない時は♦︎4、♦︎5、……の順に判定」など、細かめに定めてあります。そうでなくとも大富豪はルールの幅が広いので、この確認は重要です。

3人なので、基本ルール通り「配り切り」だと手札が多すぎます。そこで、初期手札は13枚と決めました。また、後から参加者が増える予定なので、「人が増えたら一旦リセットしましょうか」とゆるめに決めました。

「じゃあ、ジャンケンでスタPを決めましょう」と言ってしまう筆者の小ボケ(天然)でゲームが始まり、ほどなく最初の勝者が決まりました。

[1] 階段(シークエンス)
5,6,7のような連番をカードの組として出せる。条件は、同スート(マーク)のみ、3枚以上。また、同数値の組に対して階段は出せず、逆に階段に対して同数値の組も出せない。

まずはよくあるルールが追加されました。このまま普通のローカルルールが増える流れになるでしょうか?

[2] パスするとき、手札を1枚公開状態にしてよい。公開中の札はランク(数値)を通常の2倍として扱う
公開した札は自分の前に置き、あくまで手札の一部と扱う。例えば4を公開すれば8となり、普通の8と一緒に出してもよくなる。J(11)を公開すれば22となるので、K(13)より強くなる。ただし、どんなに大きい数値もA, 2, ジョーカー単体には勝てない。

筆者の追加です。まずは穏当な範囲内で、普通の大富豪じゃないルールにしてみました。

これだけで一気に戦略的になります。K→20→24 などと進んでいくインフレ感も単純に楽しいです。

通常「2の3枚」などが出たら(流れるのが確定なので)すぐ流してしまえばよいのですが、パスに意味があるため注意しないといけません。また、打ち出しはパスできないので、打ち出しの優位性が減りました。
2を倍にする大胆な手で「4を4枚」
こういう階段も作れる
[3] パスするとき、他人の公開中手札を1枚非公開に戻してもよい
1回のパスで、[2]と同時に行うことはできない。

ちょっと驚きました。直接攻撃要素です。

「公開→戻させ→公開→戻させ→……」という不毛なやり合いも危惧しましたが、そうはなりませんでした。2〜3回公開されるごとに1回ぐらい戻させが発生しました。

[4] 出した枚数だけ山札から補充
例えば2枚出したら2枚を山札から引くので、手札は減らない。山札がある限り引き、なくなってからは補充なし。初期手札が1人13枚なので、初期山札は15枚。

これはどうなるのか興味深かったです。みんなパスしまくるのではないかとも思いましたが、筆者以外の2人は、10以下ぐらいまではどんどん出してドローする方針だったようです。

[5] 同スートの2枚を足し算して1枚扱いとして出してよい。
また、ランクの強さを A<2<3<……<Q<K<14<15<16<……<単品Jo とする
♣︎4と♣︎J(11)を同時に「♣︎15」という1枚のカード扱いで出せる。ルール[1]や[2]と重複してもよい。

これは[1]を出した方の追加ですが、触発されたのか、なかなか大胆です。掛け算にするかどうかで迷ったようです。

細かいところ(公開の2倍と重複するか、足し算後のカードもAより弱いのか、など)を詰めていくと、ややこしくなりました。そこで筆者がルール2文目を提案し、受け入れられました。

当然、数値のインフレが進みます。とはいえ理性的な範囲です。この時点で十分面白いゲームだったと思います。あとひと味、ふた味あってもいいかな。「5渡し」のような弱カード救済ルールが必要かも知れません。

♠︎Kと♠︎Qが同じ人から公開されたときは、「邪魔しないでおこう」となんとなく思ってしまいました。無事に理論値の50が出て、謎の満足感があります。

6ディール目の途中で4人目の参加者が現れ、このディールで終了することにしました。「26」だの「50」だのが飛び交っていて、戦々恐々としていたようです。わかる。

[6] 1回戦を終了し、参加者を増やす



一区切りとなりました。特定カードに効果がないのに、なかなか楽しめました。

[2]の効果もあり、階段の発生率が実に良い塩梅になりました。もともと優秀なルールだと思いますが。

今思うと、公開は一度に2,3枚行えてもよかったかも知れません。手札が育つのが楽しいですから。



ルール追加用Tシャツです(?)

2回戦

4人になって2回戦スタートです。初期手札は基本ルール通り「配り切り」(1人13〜14枚)となりました。

[1] 階段
1回戦[1]と同じ。ただし1回戦ではJoの扱いを決めていなかったので、Joを含めてよいことを明記した。

途中参加の方が初戦を取り、再び定番ルールが追加されました。「ジョーカーを混ぜてもよいですか?」と聞くと、「OK、ただし何の代わりに使うのか宣言すること(7と8とジョーカーを出す場合など)」と即答が返ってきました。心強いです。

[2] 毎回席替え
ゲーム終了時に、勝者から時計回りに好きな席に座る。

ここで「席位置」という新機軸です。ただ結論から言うと、このルールは実質的にはあまり意味がありませんでした。「誰々の対面行くか」とか「席どこでもいいな」とか駄弁ってるのも楽しいんですけどね。

席位置に関するルールがあれば面白くなるかも知れません。それか、各人が固有能力を持つとか。

[3] ジョーカーを全て抜く

「ルール追加大富豪なのにルールが削除された!」とはしゃいでいた人もいました。筆者です。

ジョーカー無しだとややこしさが減って、1回戦のような数値いじりルールが追加しやすくなりますね。

[4] 初期手札10枚で残りは山札。山札から常に4枚公開。パスするとき、そこから1枚取る 
パス時に取ることは義務。山札がなくなったら補充をやめ、公開札もなくなったら以降は取らない。

このルールは想像以上に楽しかったです。取りたい状況と取りたくない状況、両方生まれるところがよいですね。また、他人に取らせたいときに2を出すことで「攻撃」ができます。

多くの人は、こぞって公開札を取りに行っていました。

[5] J,Q,Kは元のランクから-10扱い
JをA、Qを2、Kを3と扱う。例えばJとAの混ざったカードの組も出せるし、5枚以上の組ができてもよい。
ランクの強さは従来通り、10よりA,2のほうが強い。階段として 9-10-J や 9-10-A は可、2-3-4 は不可。

このルールも面白いです。上のランクが減って10や9が強くなったと思うのですが、1や2は最大8枚も同時に出る可能性があります。2が4枚も手にあったときは、どう分けて使うか迷いました。また、3は最弱ですが5枚以上出せるという夢があります。なので、4を指して「真のザコ」などと言って笑っていました。

真面目に分析すると、トランプは少々ランクが多すぎるきらいがありますので、こうしてランク数を減らすのは良かったのではないでしょうか。
この日の最多枚数、3が6枚!
ただ勘違いはやはり起きてしまい、 Qの後にKを出してしまったりします。というか、筆者が一番間違えました。ルール追加大富豪主催者、ルール追加大富豪に向いてない。「UNO」言い忘れのように、プレイ間違いにペナルティを付けるルールも考えられますね。

スタP決めが「♦︎3と記されたカードを持っている人(♦︎Kではダメ)」と微妙に変わりました。そこで、「真の♦︎3を持っている方?」と聞くとウケました。

[6] 初期手札を8枚に変更
これにより初期山札が12枚から20枚に。

カードを取る要素が楽しかったので、もっと引きたい、という調整です。

この7ディール目で事件が起きました。4人中3人がパスしまくって手札収集に勤しんでいたのですが、それを尻目に、普通に大富豪していた人があっさり上がったのです。3人とも、この人の手札が少ないことに気づいていなかったと思います。間抜けさとあっけなさに大爆笑が起きました。

[7] 山札が切れたら捨て札をシャッフルして山札とする(1回だけ)

最初は「(1回だけ)」の部分がなく、「終わらなくなるのではないか」との声に「私が『終わり』と言ったらゲームを終わる」とのルールが入りそうになりました。が、すりあわせてこの形に落ち着きました。こういう話し合いも楽しいものです。

[8] 1回目の山札の底にジョーカー2枚を仕込む

ここでジョーカー復活です。結果的にジョーカーまで一度もたどり着きませんでしたが、面白いと思います。

ルール[5]には未だ馴染まないのか、ランクの勘違いはこのあたりでも起こっていました。難しいものです。

また、みんな嬉々としてパスで公開札を取っていました。例えば、「1枚の4」という弱い打ち出しに対し、全員パスして流れたりして変な笑いが起こっていました。打ち出しが不利でしょうか?

[9] スタPは即ジョーカー1枚入手
通常の手札配布後に1枚手に入れる。[8]は1枚に変更。

打ち出しの不利を埋め合わせるためか、こんなルールが追加されました。何らかの方法で初期手札に差をつけるルールは他にもやってみたいです。

ここで新たな参加者から「もうすぐ着く」との連絡がありましたので、これでキリとしました。

[10] 2回戦を終了し、5人目のプレイヤーを待つ


この2回戦は、[4]追加のあたりからはずっと盛り上がっていました。客観的に見ても、やや地味ながら、良い出来だったという気がします。


3回戦

5人になって仕切り直しです。何もない大富豪、だいぶ物足りない……

[1] 同ランクでも出せる
通常は 5→8→9→…… のようにだんだんランクを上げていかなければいけないが、5→5→5→…… のように同じランクでもよい。

根本的なところがいじられました。

次のディールが始まると、いきなり「4」「4」「4」「5」「5」「5」「5」というような展開になり、妙な笑いが起きました。5の後にいきなりAに飛ぶとき「すいません、空気読めなくて」「協調性〜」というやりとりも。
「2ダブル」「2ダブル」「じゃあ、2ダブル」

[2] J,Q,Kは-10扱い
2回戦[5]と同じ。

[3] ジョーカーを全て抜く

2回戦が楽しかったということで、同じルールが追加される流れです。このあたりでは過去のルールとの混同が結構見られ、「パスで引かないんだっけ?」などの発言がありました。「なんで階段ないの?」と階段を渇望する声は数回上がりました。

[4] 初期手札8枚で残りは山札。開始時にブースタードラフトを行う
ブースタードラフト; 「1枚を自分の前に伏せ、残りの札を左隣に回す」を全員同時に行う。これを8回繰り返し、自分の前に伏せた8枚が最初の手札となる。

ドラフトはありがちですが、やはり無難に楽しくなります。ただ考えどころは少なめなので、弱い札に何か役割があると良かったですね。

[5] 3枚以上同時出しで革命。革命の効果は「ルール[2]を無効」
即座に適用されるので、例えば通常時にK(=3なので最弱)を3枚出すと、それらは「13の3枚」と扱われる。革命後に革命が起きると元に戻る。なお、基本ルールで「カードの組の強さは、その組に含まれる最強ランクのカードで決まる」と定めている。

ついに「革命」という名のルールですが、中身は普通の革命ではありません。3枚でよく、ドラフトもあるので、狙いやすいはずですが意外と起きませんでした。手札枚数の問題でしょうか。

[6] パス時、1人指名して1枚ランダムに交換
ランダムに交換とは、「ババ抜きの要領で1枚引く」をお互いに行うこと。

今回のキールールです。かなりテンポが悪くなるのではないかと思いましたが、やってみるとよく分からない楽しさがありました。場の雰囲気とか勢いみたいなものでうまく説明できませんが、なんだかラフで楽しいんです。
こんな風に互いに交換
(左の「梟」札は革命状態のON/OFFを表すもの)
表情を読む要素もありますね。「良い札が行ったな」と思われると、その人はしばらく狙われました。

だんだんと、手札が弱い人は前のめりに交換に乗り出すようになります。「ちょっと待ったー!」という声がかかる流れになり、盛り上がりました。


[7] パス時、山から1枚引くか[6]を行う
[6]か[7]かどちらかだけを行うのが義務。山札が切れた後は[6]を行うのみ。この時点で初期山札は12枚。

山札がある間は、[6]の交換よりこのドローの方が多く行われました。「みんなガチャ好きすぎだろ」という声が上がりました。

[8] 初期手札を7枚とする
初期山札が4枚増えて16枚に。

微調整フェイズに入っていきます。確かここで、全員の手札が1枚になる事態が起き、本格的な心理戦が始まりました。バリバリの人狼プレイヤーがいたら面白い展開になったかもしれません。

ここで帰る時刻になった人がいて、次で終わりと決まりました。

[9] 3回戦を終了

1,2回戦とはまた違う面白さがあったと思います。「パスごとに交換」と言われたときはただ面倒かと思っていましたが、やってみなければ分からないものですね。ドラフトで交換した後、またババ抜きで交換というのも悪くなかったです。

以下、ここで帰られた方の感想です。


ブログ記事[ルール追加大富豪: 種紙]


4回戦

これで最後、3人に戻りました。ショートゲームになると分かっていましたが、やれるだけやりましょうという感じで。

ところで、筆者が3回戦最後に一旦加えたルールを紹介しておきます。

[9] 3回戦を終了し、4回戦の[1]に以下のルールを加える。「場が流れたとき、全員カードを1枚公開。誰かとランクがかぶったら捨てる」

これはやってみたかったのですが、「3人ではイマイチかな」と感じて、4回戦開始直前に自己却下しました。というわけで、再び基本ルールのみになります。

[1] 勝者は2コイン受け取る
コインの用途はまだない。

出た、投げっぱなしルール。次以降の勝者がこれをどうするか。実はこの日、いろいろとトークン類を持ち込んでいたのですが、それに触発されたのかもしれません。知らんけど。


[2] 基本ルールをジジ抜きとし、手札をなくした人を勝者とする
大富豪を行わずに、ジジ抜きを行う。
ジジ抜き; トランプ1組から最初に1枚抜く。あとはババ抜きの要領で進め、最後に1枚残る札を持っていた人が負け。
今回はジョーカー2枚を加えたままで行い、勝者が決まったら終わりとする。

大……富豪…………

[3] 次で終了。最初にジジ抜きのようにペアを捨てた後、残り手札で大富豪する。勝者は今のラウンド数×2コイン得て、コインの多い人が最終的な勝者
ペアを捨てるフェーズの後、大富豪を行う。

ウェルカムバック大富豪。しかしペア捨て後の手札って廃墟みたいな。ここで筆者が勝って8コインを獲得しました。勝ちです。勝ちなのです。

[4] 終了、解散し、各自良い新年を迎える

これで全部終了です! お疲れ様でした。4回戦はいろいろ弾けていましたが、次回への可能性の広がりを感じさせるものでした。
いやあ、全体通してとにかく楽しかったです。ほんと、どうなるのか全く分からなかったのですが、大目標の「会を成功させる」は達成できたと思います。よかったよかった。何と言うか、グルーヴ感がありました。これからもルール追加していきたい所存。

一方、小目標の「あたためていた追加ルールを試す」はほとんどできませんでした。これは仕方なくて、筆者がゲームに弱すぎました。わずか3勝。ふつうルール追加できない〆のディールを除くと、なんと1勝のみ。代わりと言うわけでもないですが、出されたルールに意見する、ルールの細部を確認する、といったあたりはほとんど筆者がやっていました。

今回追加されたルールについてですが、「ゲームを破壊する」というレベルの派手なものはなかったと思います。でも興味深いルールはいろいろありました。それと、特定カードに役割を持たせるもの(8切り、スペ3など)が出なかったですね。これはまた次の機会にやってみたいですね。弱カードの救済、強カードの抑制といったことも追加ルールで試みたいです。



使ったトランプについて

最後に、この会で用いたトランプを紹介しておきます。日本コントラクトブリッジ連盟『新JCBLカード』です。優れた点が2つあります。


まずは、4隅にインデックス(スートとランクの小さい表示)があること。要は、左利きにも対応しているのです。むしろこちらの仕様が標準になってほしいものです。

もう1点は、スートが4色に色分けされていること。トリテなど、スートが重要なゲームが遊びやすくなります。これも標準になってほしい仕様です(デメリットとして、赤・黒分けを使うゲームは遊びにくくなりますが、赤っぽい2色と黒っぽい2色になっているので、できなくはないです)。

この2点を満たしているトランプはあまりないので、おすすめです。箱が付いていないので、その点だけお気を付けを。




本記事はここまでです。
この会を催すにあたっては、過去のルール追加大富豪の記録[Togetter]を参考にしました。長い記事をお読みいただきありがとうございました。

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