ポリオミノに関するエトセトラ

2018年11月19日

パズルと謎

t f B! P L

この記事は何なのか

ひとつ前の記事で紹介した『ペントアップ』は、正方形5個を組み合わせた図形ペントミノを使っているゲームでした。実はこのペントミノという概念、とても深く掘り下げることができるのです。

この記事では、ペントミノ周辺の話題、およびそれらを使った各種作品について紹介をします。ネスターゲームズの作品も少し案内します。全体的にはパズル寄りの記事になると思います。


ポリオミノとは?

『ペントアップ』で使う「ペントミノ」は、正方形5個分の図形でした。では、4個なら? 6個なら? など、別の個数はどうでしょうか。実は、それらも名前がついているのです。

まず、「ドミノ(domino)」について説明をします。ドミノは、下の写真のような、サイコロの目を2つ組み合わせたような板状のものです。日本では「ドミノ倒し」で知られていますが、これはもともとゲームの道具。トランプのように、たくさんのゲームが遊べるものなんです。
ドミノ
これは米アマゾンで購入。目が単色のものもある


面白いことに、この「domino」という言葉を、

di(化学の接頭辞で「2つの」)+ omino

だと解釈して、2つ以外の数にも拡張した人がいます。それが数学者のソロモン・ゴロムです。1953年の講演での「発明」でした。
この接頭辞を変えることで、モノミノ(1)、トロミノ(3)、テトロミノ(4)、ペントミノ(5)、ヘクソミノ(6)、ヘプトミノ(7)、オクトミノ(8)、……などの言葉が作られました。そして、これらを総称して「ポリオミノ」と呼びます。
つまり、ポリオミノとは、任意の個数の正方形をくっつけた図形です。

ゲームやパズルでは、テトロミノやペントミノが多く使われているようです。『テトリス』もテトロミノですね。このぐらいがちょうどよいのでしょう。テトロミノの形は5種類※、ペントミノは12種類なのに対し、ヘクソミノは35種類もありますから、全てを網羅する遊び方も難しいです。

※テトリスのピースは7種類では?と思った人がいるかもしれません。普通のテトリスだと裏返し(反転)操作ができないので、裏返して別の形になるものを別種とみなすと、テトロミノは確かに7種類あります。裏返し操作を許すと5種類しかないのです。


ポリオミノに関する作品

まず、ポリオミノについていろいろ知りたいという場合、書籍『箱詰めパズル ポリオミノの宇宙』(ソロモン・ゴロム、日本評論社、2014)が決定版だと思います。広くて深く、様々な方向のお話が詰まっています。

カバーは外す派です
もっと気軽にwebで読みたければ、 ジャグラー小田原の箱詰めパズル天国 がおすすめです。こちらは主に、小田原氏自身のパズル作品ごとにいろいろ語るスタイル。最初の 「箱詰めパズルの基礎知識」 だけでも読んでおくとよいです。
(この「基礎知識」部分に載っているように、パズル好きの人はペントミノをアルファベット1文字で呼んでいたりします。通っぽいでしょ?)


上の本などを読むと、ポリオミノを実際に手で触って遊んでみたくなると思います。そこで、用具として使えるものをいくつか紹介します。

ポリオミノ初心者さんにまずおすすめなのは、テンヨー社のプラパズルのうち、透明なもの。現在は流通が減ってきているようですが、極めて安価なので、無くなる前に手に入れてしまいましょう。
買ったら、ぜひテンヨー公式サイト内のオンラインカタログページもチェックして下さい。解答記録方法や問題集が載っています。
プラパズルの例
今日現在でヨドバシ.comに3種類在庫がありました
それで物足りなくなったら、トリトの「平面ポリオミノ」コーナーパズラボの平面パズルコーナー葉樹林の通販を探してみましょう。
最近買ったもの。
チェッカー模様にするという条件付きポリオミノパズル

それから、ポリオミノ色が強いボードゲームも紹介します。

ネスターゲームズでは、『Moon Harvesters』『PENTACTIC』『Battle of LITS』『HIPPOS&CROCODILES』など。
その他のメーカーでは、『ブロックス』『ウボンゴ』『パッチワーク』『クマ牧場』などがあります。
特にブロックスは、モノミノ〜ペントミノ(つまり、大きさ1〜5のポリオミノ)の全揃いが4セットも入っており、カチッとハマるフィールドも用意されているため、ポリオミノでいろいろ遊びたい方には超おすすめです。


ポリオミノをさらに拡張

ポリオミノは正方形ですが、正方形以外の図形で同じような概念はあるでしょうか。もちろんあります。

正六角形を単位とする「〜ヘックス」、正三角形を単位とする「〜イアモンド」、立方体を単位とする「〜キューブ」がメジャーです。
例えば立方体の場合、4個を面で貼り合わせたものは「テトラキューブ」、個数を指定しなければ「ポリキューブ」となります。
ところで、ポリキューブは立方体…ということは、立体図形ですね!

そして、これらのように「同じ図形をくっつけて作った図形」の総称を「ポリフォーム」と呼びます(この名称は日本ではまだ一般的でないかも知れません)。



手で触れる用具としては、平面のポリフォームについてはそれほど多くないと思います。
下のボードゲーム紹介と重複しますが、ポリイアモンドを使う『ブロックス トライゴン』が入手しやすいです。

立体は、知育玩具などを含めてポリキューブものがたくさん出ています。最もメジャーで、かつ入門におすすめできるのは、『ソーマキューブ』です。ソーマキューブは、多数の製造元から製品化されています。ここでは、 小田原充宏氏の木製製品 、詳しく説明されている 箱詰めパズル天国の第11回 にリンクを貼っておきます(いずれも、パズルショップのトリト内)。
もっと目いっぱい遊びたくて、かつ難しすぎないものとしては、『アソートキューブ』または『アソートキューブMO』が良いと思います。

幻冬舎エデュケーションの『シンプルキューブ』


ボードゲームも紹介しましょう。

ネスターゲームズでは、
SEVEN』 - テトラヘックス(正六角形4個、7ピース)
Counterplays』 - ヘクシアモンド(正三角形6個、12ピース)
Stack-22』 - ペンタヘックス(正六角形5個、22ピース)
Twigs』 - ペンタトゥイグス(線分5本を120°の角度で繋げたもの、12ピース)
があります。Twigs以外は、ペントアップとルールが同じでピースだけが違うという、姉妹作品ですね。

その他は、『ウボンゴ』シリーズ『ブロックス』シリーズなどで遊べます。ボードにヘックス地形が使われているゲームは多いので、ポリヘックスものは探せば結構あるかもしれません。 
Twigsは陣取りゲーム。というか、陣作りゲーム?


最後に、ポリフォームによる問題や図形の作例について。

まずは、ポリオミノのところでも挙げた『箱詰めパズル ポリオミノの宇宙や ジャグラー小田原の箱詰めパズル天国 を読んでみましょう。
各種ポリフォームをいろいろと見てみたい人は、The Poly Pages をチェックしてみて下さい。それと、同形の敷き詰めが圧巻な POLYFORM CURIOSITIES もぜひ。こちらは平面図形多めです。

通販で入手できる品は、平面のところでも紹介したトリトパズラボ葉樹林を当たってみましょう。

ちょいとパズルでも には超大量の箱詰め問題が載っており、筆者は一時期、ここをレシピとして手製のポリキューブセットをたくさん作っていました。素材にはトリトの『キューブ製作キット』、それと木工用ボンドと紙やすりを使いました。塗装もいずれしてみたいものです。試作用途には、『ライブキューブ』という商品もなかなか良いです。

自主製作したもの。
のうち、押し入れから早めに出てきてくれたもの
これは3×3×3の立方体を作る問題
惜しい
かなり趣が違うけど、これも3×3×3問題。
たった3ピース。「積む」のではなく、「組む」




今日はここまで。最後の方はマニアックになってきましたね。明日はゲーム紹介に戻ります。


(2019年3月7日追記) 葉樹林、パズラボに関する記述を追加しました。

ブログ内検索

月別記事

翻訳(Translate)

メールフォーム(筆者に連絡)

名前

メール *

メッセージ *

QooQ